端午の節句といえば、こいのぼりに兜飾りに……
その中でも、大人も子供も、食べて美味しいのは柏餅ですね!
その柏餅、そういえば葉っぱが微妙に違うのを見かけたことがありませんか?
あの違いに理由はあるのでしょうか?
そこで今回は柏餅の葉っぱの種類や、食べていいのかなどを解説していきます!
柏餅の葉っぱには種類があった!
柏餅の葉っぱ、まずどんな葉っぱなのでしょうか?
柏餅で使われている葉っぱはその名の通りカシワの木の葉です。
ところで、そのまま柏の木と言うと『コノテガシワ』という木のことを指します。
しかし、コノテガシワの葉は細長い形で、わたしたちが知っている柏餅を包んでいる葉とは異なります。
夏本番!「セミの大合唱」を聞きながら園内を回っていると、おもしろい形の木の実を見つけました。
角が生えたようなこの実は、コノテガシワのでき始めの青い実でした。
秋には褐色になり、割れて種が見えるそうです。 pic.twitter.com/J9S11VgpVN— 都立祖師谷公園 (@ParksSosigaya) August 6, 2020
実際には「槲」(カシワ)の葉が、わたしたちがよく見る柏餅の葉っぱです。
アカメガシワ(赤目槲)
山野に生えます。葉の新芽は鮮やかな赤色です。昔はこの葉をカシワと同じように食物をのせるのに使いました。#えびの市 #歴史民俗資料館 #アカメガシワ #落葉低木 pic.twitter.com/xxYgnLjM0a— えびの市歴史民俗資料館 (@ebishiryou) June 6, 2020
同じ”カシワ”でも、”柏”餅の柏ではなかったのは意外ですね。
緑の葉と茶色の葉、違いの理由は?
柏餅の葉も、緑色のものと茶色のものがあります。
違いの理由や意味などはあるのでしょうか?
江戸時代、柏餅の葉はすべて緑色でした。
明治時代以降、一度すべての柏餅が茶色の葉になったのです。
明治時代になると旧暦から新暦になり、暦が約1か月後ろにずれてしまいました。
しかし、端午の節句は新暦でも5月5日のままだったため、つまり約1か月前倒しに。
新暦の5月ごろの柏の葉はまだ小さかったので、こうして柏の葉で餅をくるむ事が出来なくなってしまいます。
そこで、大きくなった柏の葉を「来年の」端午の節句に使えるよう、長期保存するために葉を蒸し、乾燥させるようになっていきました。
蒸された葉は茶色くなります。
こうして、明治時代以降は茶色の葉の柏餅が定番になったのです。
現代は真空パックの技術が発達したため、緑の葉のまま長期保存出来るようになり、緑の葉の柏餅も作れるようになりました。
しかし今でも、茶色い葉の柏餅のイメージは根強く、また需要もあるので、現在も茶色の葉と緑の葉、どちらの柏餅も見かけます。
また、お店によっては餡の種類を区別をするために使い分けているところもあります。
関西ではサルトリイバラ
こどもの日なので柏餅作ったよ。
柏の葉は買ってないのでサルトリイバラの葉を使いました。
#こどもの日 #柏餅 #和菓子 #おうちカフェ #おうちごはん #お腹ペコリン部 #Twitter家庭料理部 #家庭料理 #手作りおやつ pic.twitter.com/tqjqf3aJKS— tomo (@kino_kitamo) May 4, 2020
地域によって、特に近畿から西の地域では、サルトリイバラという木の葉が柏餅に使われています。
これは、近畿から西の地域に柏の木が少なく、その葉が取れなかったからという理由のようです。
サルトリイバラは山帰来(さんきらい)とも呼ばれており、主に西の地域では柏の葉の代わりに使われます。
山帰来はその地の通り「山に帰って来る」という意味です。
都会に出て行った親戚同士が故郷の山に帰ってきて、みんなで端午の節句を祝いながら楽しく食べる。
そんな願いも込められ、この葉が使われるようになったのでしょう。
柏餅が葉っぱで包まれている理由
1月5日の誕生花
【柏/かしわ】
花言葉:稀なる力:何といっても、秋に紅葉した後にも落葉せず、そのまま翌春の芽吹きまで枯葉がくっついているところが最大の特徴。代が途切れない事を貴重として昔から縁起の良い木とされてきました。緑に茂る様子も爽やか。柏餅の主役でもあります。 pic.twitter.com/GejlPe38Ug
— 日本の誕生花 (@tanjyouka) January 5, 2022
そもそも、なぜ柏餅を葉っぱで包むようになったのでしょうか?
そこには端午の節句らしい意味、由来があります。
柏の葉というのは、新芽が育つまで古い葉が落ちないという特徴があります。
そのため、柏の葉を使うことによって、
- 子孫繁栄
- 代替わりする年齢になるまで子供が無事に育つ
といった、縁起を担ぐ意味合いもあったのです。
江戸時代に始まった、端午の節句に柏餅を食べる習慣。
これが根付いたのは、柏の木が多かった主に関東から東日本でした。
家督が継がれていくことを重要視していく武家が江戸を中心に多かったことも、無関係ではないでしょう。
柏餅の葉っぱは食べていいの?
柏餅の葉っぱは食べられるのでしょうか?
そして実際、美味しいのでしょうか?
カシワの葉は食べようと思っても、筋張っていて固く、とてもとても食べられるものではありません……。
ただし、頑張って食べてしまっても、体に害はありませんのでご安心ください。
ところで、食べられる葉っぱとして思い出すのは桜餅ですね。
桜餅の葉は食べることを前提に作られていて、塩漬けにするなど加工がされています。
しかし柏餅の葉は「器」であり、食べることを前提に作られていません。
なので、葉っぱをはがしてから食べるのが一般的です。
まとめ
ここまで、柏餅の葉っぱの種類や違い、食べていいのかなどをご紹介してきました。
- 柏餅の葉っぱは「柏」ではなく「槲」、昔は緑色の葉が主流だった
- 柏餅が葉っぱで包まれているのは子孫繁栄などの意味合いで
- 柏餅の葉っぱは食べない方がいい
代表的な和菓子である柏餅にも由来がたくさんあり、それら一つ一つに意味合いが込められているものでした。
次に食べる時は今回の内容を披露して盛り上がりながら、みんなで美味しくいただけそうですね!
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