夏のあいだずっと家族の一員だったカブトムシが、ある朝ひっくり返ったまま動かなくなっていた。

夏の終わりは、カブトムシがお別れのときを迎える時期でもあります。

姫路科学館の解説によると、カブトムシが成虫でいられる期間はせいぜい2か月程度で、室内で大切に育てると10月半ばごろまで飼育できることもある、とされています。

お店やイベントで迎えた子はすでに成虫になってから時間がたっていることも多く、夏休みの終わりごろにお別れが来るのは珍しくありません。

「かわいそうだから庭に埋めてあげよう」と考える方も多いのですが、飼育ケースの中身ごと外に出してしまうのは避けたい、という注意点があります。

そのうえで選びたいのが、標本にして残す・供養する・自由研究のまとめに活かすという3つの前向きな選択肢です。

そこでこの記事では、

  • 死んだふりと本当の死の見分け方:作業を始める前に必ず確認したい3つのポイント
  • カブトムシの標本の作り方6ステップ:100均・ホームセンターで代用できる道具と手順
  • 腐る・臭うを防ぐコツと防腐処理の要不要:失敗の多くは乾燥不足から起こります
  • 標本にしない場合の供養・処分:昆虫葬の費用感と、庭に埋めるときの注意点
  • 飼育ケースのマット(土)の捨て方:そのまま庭にまかないほうがいい理由
  • 子どもへの伝え方と自由研究への活かし方:園や祖父母から預かった虫が死んだときも

についてお伝えします。

今まさに動かなくなったカブトムシを前にして、何から手をつければいいのかわからない、という方はぜひ最後まで読んでくださいね。

作る前に確認!カブトムシの「死んだふり」と本当の死の見分け方

いちばん最初にやることは、標本の準備ではなく「本当に死んでいるかの確認」です。

カブトムシは基本的に夜行性で、昼間はマットにもぐってじっとしていることが多い虫です。

一方で山口大学の研究では、シマトネリコという木に集まった個体が夜明け後もそのまま活動を続けることが確認されています。

つまり昼夜の動き方には幅があるということで、昼に動かないことも、昼に動いていることも、それだけでは生死の判断材料になりません

「カブトムシは死んだふりをする」といわれることもありますが、刺激を受けると動きを止める「擬死」がくわしく研究されているのはコクヌストモドキなど別の甲虫で、カブトムシで確認されているわけではありません。

むしろ、ひっくり返ったまま動かない場合は、休んでいるのではなく脚の力が弱って自力で起き上がれないことがあります。

止まり木や枯れ葉、丸めた新聞紙などをそっと近づけて、つかまって起き上がれるようにしてあげてください。

羽化してまもない成虫は、しばらくエサをほとんど食べずにじっとしていることもあり、この時期は特に見分けがつきにくいです。

あわてて標本づくりを始めてしまうと、生きている子を傷つけることになりかねません。

次の3つを順番に確かめてみてください。

  1. 夜にもう一度のぞく:本来の活動時間は夜。夜中に見て動いていれば生きています
  2. 脚と触角の状態を見る:時間がたつと脚が縮こまって硬直し、そっと動かしても関節が曲がらなくなります(生きていても動かないことがあるので、これだけで決めないでください)
  3. 数日ようすを見る:ゼリーが減っている、置き場所が変わっているなら生きているサインです

チェックするときは、脚を無理に引っぱったり、角を持って振ったりしないでくださいね。

生きていた場合にツメや脚が取れてしまい、そこから弱ってしまうことがあります。

数日たっても姿勢がまったく変わらず、脚が硬く縮こまったままなら、寿命を迎えている可能性が高いといえるでしょう。

触ったあとは、お子さんも大人も石けんで手を洗う習慣にしておくと安心です。

カブトムシの標本の作り方【6ステップ】

標本づくりは、特別な薬品も専門の道具もなくてもできます。

大きな流れは「洗う→やわらかくする→ポーズを決める→針で固定する→乾かす→箱に納める」の6ステップです。

作業そのものは1〜2時間ほどみておけば足りることが多いですが、そのあとの乾燥に数週間から1か月ほどかかります。

提出日までに乾ききらないこともあるので、その場合は「作っている途中の写真+手順の記録」をレポートにして提出し、標本は完成してから持っていく形にすると無理がありません。

お湯や針を使う場面があるので、作業は必ず大人が主導し、子どもだけで進めさせないようにしてくださいね。

用意するもの(多くは100均・ホームセンターで代用できます)

道具の多くは100円ショップやホームセンターで代用できますが、品ぞろえは店舗や時期によって変わります。

特に昆虫針は置いていないお店が多いので、ホームセンターの昆虫コーナーや理科器具店、通販で探すことになります。

手に入らない場合は、まち針や虫ピンで代用する方法もあります。

最低限そろえたいのは次のものです。

  • 昆虫針:太さが号数で分かれています。森林総合研究所のオサムシ科甲虫の調査マニュアルでも、針ざし標本に5号・3号・0号が使い分けられています。カブトムシのような大型の虫には太めの号数が扱いやすいので、購入先の表示を見て選んでください
  • まち針・虫ピン:脚や角を仮どめする用。10〜20本ほどあると足りなくなりません
  • 発泡スチロールの板:ポーズを決める台。食品トレーや緩衝材の再利用でOKです
  • 使い古しの歯ブラシ・柔らかい筆:体についたマットや汚れを落とすのに使います
  • ピンセット:脚を持つときに便利。先が細いタイプが向いています
  • 標本箱(またはフタつきの浅い箱):100均のコレクションケースや木製フォトフレームでも代用できます
  • 木工用ボンド:取れてしまった脚やツメを付け直すときに使います
  • 防虫剤・キッチンペーパー:保管と乾燥に使います

標本箱は、中の高さが2〜3cmないとカブトムシの角や体の厚みが入りきりません。

買う前に、フタを閉めたときに角が当たらないかを必ず確認しておくと失敗しませんよ。

①体をきれいに洗う

まずは体についたマットやオガクズ、樹液のベタつきを落とします。

水を流しながら、使い古しの歯ブラシでやさしくこすってあげてください。

特に汚れがたまりやすいのは、頭と胸のつなぎ目、脚の付け根、腹側の毛の部分です。

洗剤は使わず、水だけで十分です。

洗い終わったらキッチンペーパーで軽く押さえて、表面の水気を取っておきます。

死後しばらくたっていて体がもろくなっている場合は、こすらずに水につけて筆でなでる程度にとどめてくださいね。

②お湯で足をやわらかくする(やけどに注意)

死後1日以上たったカブトムシは、脚や関節がカチカチに固まっていて、そのままではポーズが作れません。

国土交通省の子ども向け資料でも、足が硬くなっていたらお湯につけて柔らかくする、と案内されています。

環境省の昆虫標本教室では、標本づくりの前に30分ほどぬるま湯に浸けておくと柔らかくなると紹介されていて、普通の水に一晩浸ける方法も挙げられています。

まずはこの「ぬるま湯に30分ほど」から試してみてください。

ポリ袋にカブトムシを入れ、袋ごとお湯につける方法だと体が浮かず、取り出すときもラクです。

大阪市立自然史博物館の学芸員も、標本をやわらかくする「軟化」でお湯につける方法はいつもやっていて、甲虫ならまず大丈夫と回答しています。

ただし体が大きく、乾いてから時間がたっている個体はけっこう時間がかかるため、硬いままなら繰り返しお湯につけるとよいそうです。

やけどの危険があるので熱湯は使わず、手を入れていられないような温度にしないでください。

湯温の確認とお湯を扱う工程は、必ず大人が担当しましょう。

浸けたあとにピンセットで脚をそっと動かしてみて、抵抗なく曲がるようになっていれば準備完了です。

十分にやわらかくなる前に無理に曲げると脚が取れてしまうので、まだ硬ければもう少し浸けてくださいね。

③発泡スチロールでポーズを決めて仮固定

発泡スチロールの板の上にカブトムシを置き、脚と角の位置を決めていきます。

図鑑の写真を横に置いて、それを目標に整えると仕上がりがぐっときれいになります。

基本は左右が対称になるように、6本の脚をバランスよく広げた形です。

決めた位置がずれないように、脚の両脇にまち針を挟むように刺して押さえていきます。

このとき、まち針は脚そのものに刺すのではなく、脚を左右から挟んで支えるように刺すのがコツです。

脚に直接刺すと穴が残りますし、細い部分は折れてしまうことがあります。

体の大きい部分から順に固定して、細かい脚先は最後に微調整すると崩れにくいですよ。

④昆虫針で本固定する

ポーズが決まったら、体の中心線から少し右にずれた位置(右側の羽の付け根あたり)に昆虫針を垂直に刺します。

森林総合研究所の資料でも、昆虫針は右の翅(はね)の上からまっすぐ刺し、胴体を貫通させて中脚と後脚の間から先端が出るようにする、と説明されています。

まん中に刺さないのは、左右対称な体の中心線を壊さないためで、標本づくりでは右側に統一するのが一般的です。

針は真上からまっすぐ、体に対して垂直に入れるのがポイントになります。

斜めに入ると、標本箱に納めたときに体が傾いて見えてしまいます。

刺したあとは、発泡スチロールの板に針を軽く刺して自立させ、体の下に少しすき間ができる状態にしておきます。

体が板にべったり接していると、その面だけ乾きが遅れてカビの原因になります。

昆虫針は先端がとても鋭いので、小さいお子さんのいるご家庭では作業中も保管中も手の届かない場所で扱ってくださいね。

⑤乾燥させる(期間の目安は1か月ほど)

ここが標本づくりでいちばん時間がかかり、いちばん大切な工程です。

直射日光の当たらない、風通しのよい場所に置いて自然乾燥させます。

徳島県立博物館の解説でも、1か月ほどしっかり乾燥させると標本が長持ちすると紹介されていて、エアコンの効いた乾燥した部屋がよいとされています。

森林総合研究所の資料では2週間ほど乾燥させる例もあり、虫の大きさや湿度によって前後します。

乾かし方は資料によって少し違うので、迷ったときの整理も書いておきますね。

徳島県立博物館は、紙の箱に防虫剤を入れてふたをし、乾燥した部屋でじっくり乾かす方法を紹介しています。

国土交通省の資料では、密閉できる箱に昆虫を入れ、防虫剤と防腐剤を入れて約1〜2か月しっかり乾燥させる方法が案内されています。

共通しているのは、標本を食べる虫から守りながら、湿気をこもらせないことです。

なお、このように防腐剤を使う案内もありますが、後の章で紹介するとおり、博物館は「甲虫なら乾燥だけで大丈夫」という立場です。

家庭では乾燥を優先して、防腐剤は必須と考えなくて大丈夫ですよ。

家庭で手軽にやるなら、ホコリよけにティッシュを1枚かぶせて風通しのよい場所に置くのがいちばん簡単で、失敗も少ない方法になります。

ふたのある容器を使う場合は、乾燥剤を必ず一緒に入れ、フタを少しずらして空気の通り道を残しておくと失敗しません。

乾燥剤も入れずに閉じこめると湿気が抜けず、乾く前にカビが出てしまいます。

防虫剤にも注意点があります。

パラジクロロベンゼンを使った衣類用防虫剤は、メーカーの注意書きに「スチロール製の人形およびアクリル製のブローチなどのプラスチック製品は、本剤におかされ、変形することがあります」とあります。

この薬剤は気体になって広がるタイプなので、紙で包んでも発泡スチロールは守れません。

発泡スチロールを使う箱には、パラジクロロベンゼンやナフタリンの防虫剤を入れないと覚えておいてください。

ナフタリンや樟脳との併用も避けるようメーカーが案内しているので、防虫剤は1種類だけにしましょう。

脚や角を軽く触ってみて、しなりがなくカチカチになっていたら乾燥完了の目安です。

⑥標本箱に納めて完成

乾いたら、まち針をそっと抜いて標本箱に移します。

箱の底に厚紙やコルクの板を敷いておくと、昆虫針をそのまま刺して固定できます。

取れてしまった脚やツメがあれば、木工用ボンドを爪楊枝の先に少量つけて元の位置に戻してあげましょう。

最後に箱のすみに防虫剤を入れておくと、標本を食べる小さな虫の被害を防ぎやすくなります。

このとき、防虫剤が標本に直接触れないよう、小さな紙で包んで隅に置くのがおすすめです。

底に発泡スチロールを使った場合は、前の章のとおりパラジクロロベンゼンやナフタリンの防虫剤は使わず、底材を厚紙やコルクに替えてください。

飾る場所は、直射日光の当たらない棚の中が向いています。

窓辺に置くと色があせやすく、せっかくの黒いツヤが失われてしまいます。

防虫剤は誤飲の心配があるため、小さいお子さんの手が届かない高さに置いてくださいね。

標本が腐る・臭う…よくある失敗と防腐処理は必要か

結論からいうと、家庭で作る標本に、薬品を注射するような防腐処理は必要ありません。

大阪市立自然史博物館の学芸員は、腐りやすいバッタやトンボでも博物館では防腐剤を使わずに標本を作っていて、甲虫のような丈夫な虫なら針で刺して形を整えたあときちんと乾燥させておけば大丈夫、と回答しています。

徳島県立博物館も、昔の昆虫採集セットに入っていた注射液は必要なく、水を入れるとかえって腐って強いにおいが出ると説明しています。

標本づくりでいちばん大切なのは、ただただよく乾かすことなんですね。

虫の体は水分が抜けきってしまえば腐らなくなるので、しっかり乾燥させることがそのまま防腐対策になります。

ただし、標本を食べてしまう虫を防ぐための防虫剤は別の話で、こちらは公的な標本づくりの資料でも使うようすすめられています

そして腐る・臭う・体液がにじむといった失敗の多くは、乾燥不足から起こります。

特に多いのが、乾ききる前に標本箱に入れてフタを閉めてしまうパターンになります。

よくある失敗と対処を整理しておきますね。

  • においが続く:まだ体内に水分が残っている状態。箱から出して乾燥を続けます
  • 白い綿のようなカビが出た:湿気がこもったサイン。乾いた筆で払い、風通しのよい場所に移します
  • おなかがへこんで色が変わる:乾燥が進む過程で起きることが多く、それだけでは失敗ではありません
  • 体液がにじむ:キッチンペーパーで押さえて吸い取り、そのまま乾燥を続けます

どうしても早く仕上げたいときは、乾燥剤(シリカゲル)を多めに入れた箱に置く方法もあります。

その場合も乾燥剤が湿ってきたら交換し、自信がなければフタを少しずらして空気の通り道を残しておいてください。

死後だいぶ時間がたって体がぐずぐずに崩れている場合は、標本づくりには向きません

無理に作ろうとせず、次の章の供養の方法に切り替えるほうが、お子さんの記憶にもきれいなまま残せますよ。

標本にしない場合は?供養・処分の3つの選択肢

虫が苦手で標本づくりは難しい、体が崩れていてできない、というご家庭ももちろんあります。

その場合の選択肢は、大きく分けて3つです。

どれを選んでも「ちゃんとお別れした」ことに変わりはないので、ご家庭の状況に合う方法を選んでくださいね。

それぞれの特徴をまとめました。

  1. 標本にして残す:形が残り、自由研究にも使えます。費用は道具代だけで、家にあるもので代用すればかなり抑えられます
  2. 昆虫葬(合同埋葬・供養)に出す:昆虫専門の供養サービスがあり、遺体を庭園などへ埋葬して合同供養してもらえます。愛ペットセレモニー尼崎の場合、来園での埋葬・供養は3,300円、郵送は3,300円に別途送料がかかり、送料込み4,950円のプランは1匹・厚さ2.2cm以下が条件です(※2026年8月21日確認。料金や対応は業者ごとに違うので公式サイトで確認を)
  3. 燃えるゴミとして出す:自治体のルールに沿って出す方法。白い紙やティッシュで包んであげると気持ちが違います

昆虫葬は郵送で受け付けているところもあり、近くに対応業者がない地域でも利用できる場合があります。

ただし角の大きなオスは厚さの条件に収まらないことがあるので、大型の個体や2匹以上のときは、対応できるプランがあるか公式サイトで確認してくださいね。

ゴミとして出す場合も、子どもと一緒に「ありがとう」を言ってから包む、という順番にすると、後ろめたさがずいぶん和らぎます。

そして気をつけたいのが、飼育ケースの中身ごと庭やプランターに出してしまわないことです。

環境省は、外国産のカブトムシ・クワガタを侵略的外来種として挙げ、飼っている生き物は決して野外に逃したり捨てたりしないよう呼びかけています。

在来のクワガタムシ等との競合・駆逐や、遺伝的なかく乱が心配されるためです。

昆虫の遺体を自宅の敷地に埋めること自体を直接禁じるルールは見当たりませんが、飼育していたケースの中身には、卵や生まれたばかりの幼虫が残っていることがあります。

マットごと庭に出すと、気づかないうちに飼っていた虫を野外に出してしまうことになりかねません。

庭に埋める形でお別れしたい場合は、次の4点を守れば気持ちの区切りとして選んで大丈夫です。

  • マットや土は持ち込まない:体だけを、洗って土に還す形にします
  • 埋めるのは自宅の敷地内だけ:公園やマンションの共用部、他人の土地には埋めません
  • 掘り返されない深さに埋める:浅いと猫やカラスに掘り返されてしまいます
  • 外国産なら念のためゴミか昆虫葬に:遺体そのものというより、マットや卵の混入を確実に断つためです

すぐに手が回らないときは、冷凍庫で一時保管しておく方法もあります。

入れ方は、徳島県立博物館が採集した虫の扱いとして紹介している「小さなビニール袋に入れ、その袋をタッパーに入れる」という形が参考になります。

袋には、いつどこで手に入れた個体かをマジックで書いておくと、あとで標本ラベルを作るときにそのまま使えます。

食品とは別の場所に、日付を書いて入れておくと家族の誤解も防げますよ。

飼育ケースのマット(土)はどう処分する?

意外と困るのが、ケースに残った昆虫マットの処分です。

結論としては、庭やプランターに撒かず、お住まいの自治体のルールに沿って処分するのが基本になります。

庭に撒くのを避けたい理由は、前の章で書いた「ケースの中身を外に出さない」と同じです。

飼育していたマットには、卵や生まれたばかりの幼虫が混ざっている可能性があり、外に出すと近所の土に紛れてしまいます。

特に外国産のカブトムシ・クワガタを飼っていたご家庭は、避けておくのが安心です。

捨て方は自治体によって扱いが分かれるため、ゴミ袋に入れる前に確認してください。

  • まずは自治体のごみ分別辞典で調べる:「土」「腐葉土」「園芸用土」で検索すると出てきます
  • 土や砂の扱いは自治体で分かれます:収集していない自治体もあれば、腐葉土や木くずが主原料の昆虫マットを可燃ごみで受け付ける自治体もあります
  • 迷ったら清掃事務所に電話で聞く:「カブトムシの飼育に使った腐葉土です」と伝えると案内してもらえます
  • 袋は二重にして少量ずつ:湿っていて重くなるので、袋が破れないよう小分けにします

そしてマットを捨てる前に、必ずやってほしいことが1つあります。

新聞紙やブルーシートの上にマットを広げて、卵や幼虫が入っていないかを確認する作業です。

夏にオスとメスを一緒に飼っていたご家庭では、卵や幼虫が見つかることがあります。

空になったケースは、水洗いしてしっかり乾かしてから収納すれば、来年もそのまま使えますよ。

卵や幼虫が残っていたら?標本と一緒に育て続けてOK

マットの中から白い卵や小さな幼虫が出てきたら、飼育ケースと新しいマットを用意して、そのまま育て続けることができます。

親が寿命を迎えることと、次の世代が育つことはまったく別の話だからです。

カブトムシは、成虫が夏に産卵して秋から冬を幼虫で過ごし、翌年の初夏に羽化するというサイクルで暮らしています(時期は地域や温度によって前後します)。

つまり親のお別れの時期は、子どもたちの飼育のスタート時期でもあるんですね。

見つけたときの扱い方をまとめておきます。

  • 手で直接つままない:卵も幼虫もやわらかいので、スプーンでマットごとすくって移します
  • 新しいマットを深めに入れる:幼虫はもぐって育つので、体がしっかり隠れる深さを入れてあげます
  • 乾燥させない:千葉県教育委員会の家庭学習教材でも、握ったときにバラバラにならず形が残るくらいが目安とされています
  • 幼虫は個別か広めのケースで:同じ教材では、ガラスびんやペットボトルなら1匹、30cm水そうで5匹くらいが目安とされています

育てきれないからといって、幼虫を近所の公園や雑木林に放すのは避けてください

飼育していた個体を野外に出すことは、その土地にもともといる虫たちへの影響が心配されるためです。

数が多くて困るときは、飼育している知り合いや、昆虫を扱うお店に相談先がないか聞いてみる方法があります。

幼虫のお世話は成虫より手がかからないので、「親は標本、子は飼育」という形にすると、子どもの気持ちの区切りにもなりますよ。

秋以降の具体的なお世話については、カブトムシの飼い方をまとめた記事も参考にしてみてくださいね。

子どもへの伝え方(園や祖父母から預かった虫が死んだとき)

親にとって、標本づくりよりも重いのが「子どもにどう伝えるか」ではないでしょうか。

ここで大切にしたいのは、事実をぼかさずに伝えることと、子どもがしてきたお世話を認めてあげることの2つです。

「どこかに行っちゃった」とごまかしてしまうと、子どもは自分のせいで逃げたのかもしれないと考えてしまうことがあります。

「寿命だったんだよ」という説明のあとに、「毎日ゼリーをあげてくれたから、最後まで元気に過ごせたね」と続けてあげてください。

泣いてしまっても、無理に切り替えさせず、一緒にお別れの時間を作るほうが納得しやすくなります。

難しいのが、保育園・幼稚園や祖父母から預かって育てていた場合です。

言い出しにくくて連絡が遅れがちですが、早めにひと言伝えておくほうが、後々気まずくなりません。

  • 園への連絡例:「お預かりしていたカブトムシですが、◯日に寿命を迎えました。子どもと一緒にお別れをして、標本にして持たせようと思っています」
  • 祖父母への連絡例:「おじいちゃんがくれたカブトムシ、夏のあいだずっと大事にしていました。この前寿命がきたので、形に残そうと標本を作っています」
  • 子どもへの声かけ例:「カブトムシの夏は短いんだよ。◯◯くんがお世話してくれた分、いい夏になったと思うよ」

標本やお別れの写真を添えて報告すると、「大事にしてもらえてよかった」と受け取ってもらいやすくなります。

生き物の死は、家庭で用意できる数少ない「命の学び」の場面だと感じます。

隠すよりも、家族で一緒に見送る形にしたほうが、子どもの中にはあたたかい記憶として残っていきますよ。

標本を自由研究のレポートに活かすコツ

せっかく作った標本は、飾って終わりにせず自由研究の成果物として提出できます。

ポイントは、標本を単体で出すのではなく、飼育の観察記録とセットにすることです。

標本だけだと「作りました」で終わってしまいますが、記録と組み合わせると立派な研究になります。

特に、飼い始めた日と亡くなった日から飼育日数を計算する作業は、低学年でもできて説得力が出るのでおすすめです。

まとめるときに入れたい要素を挙げておきますね。

  1. 標本ラベル:入手した日と場所・飼育していた期間・作った日・自分の名前を小さな紙に書いて標本箱に入れます
  2. 体のサイズの記録:体長・角の長さ・体の幅を定規で測って数字で残します
  3. 飼育日誌の抜粋:食べたゼリーの数、よく動いていた時間帯、暑い日のようすなど
  4. 体のつくりのスケッチ:頭・胸・腹の3つに分かれていること、脚が6本ついている位置を書き込みます
  5. 考察:「なぜオスにだけ角があるのか」「昼と夜で動きがどう違ったか」など、疑問と自分なりの答えを書きます

標本を作る過程そのものを写真に撮って、手順として貼るのも立派な内容になります。

お湯でやわらかくする理由、乾燥に時間がかかる理由を自分の言葉で説明できると、ぐっと研究らしくなりますよ。

模造紙にするかレポート用紙にするかで書き方が変わるので、まとめ方の型は自由研究のレポートまとめ方の記事もあわせて確認してみてくださいね。

まとめ

今回は、カブトムシの標本の作り方と、死んでしまったあとの向き合い方についてお伝えしました。

最後に大事なポイントを振り返っておきます。

  • まず生死を確認:夜に見る・脚の硬直・数日の観察の3点でチェックします
  • 標本は6ステップ:洗う→ぬるま湯でやわらかくする→ポーズ→針で固定→乾燥→箱に納める
  • 注射のような防腐処理は不要:大切なのは乾燥。1か月ほどかけてしっかり乾かします(標本を守る防虫剤は別に用意します)
  • 標本以外の選択肢:昆虫葬は一例として3,300円〜4,950円(1社の料金・2026年8月時点)。燃えるゴミは自治体のルールに沿って
  • マットごと庭に出さない:卵や生まれたばかりの幼虫が残っていることがあるためです
  • 卵や幼虫が残っていたら育ててOK:翌年の初夏の羽化を目指せます

お湯と昆虫針の扱いだけは大人が責任を持って、作業のあとは手洗いを忘れないようにしてくださいね。

夏の終わりのさみしい出来事も、標本と記録に残せば、子どもにとって「命を最後まで見届けた夏」に変わります。

ご家庭に合う方法で、気持ちよくお別れができますように。

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